ピースボート世界一周の基本情報：費用・期間・寄港地

まずはピースボートのクルーズ概要と、旅の全体像を把握しましょう。

標準的な航海期間とルート

ピースボートの世界一周クルーズは、基本的に3ヶ月（約100日〜104日）の期間で運行されます。年に数回、異なるルート（南回り、北回りなど）で企画されます。

• 期間の目安： 3ヶ月間（約100日間）
• 寄港地の目安： 約20〜25カ国
• 主なルート：
  • 南回り： アジア→スエズ運河→地中海→南米→太平洋→日本（赤道付近を通るルート）
  • 北回り： アジア→パナマ運河→北米→ヨーロッパ→アジア→日本（高緯度地方を巡るルート）

使用される客船と船内施設

ピースボートは、クルーズごとに様々な客船をチャーターして運行します。近年は、比較的カジュアルながら必要な設備が整った船が使用されることが多くなっています。

船内施設は一般的な豪華客船に比べるとシンプルですが、学習や交流に特化したスペースが確保されているのが特徴です。

標準的なクルーズ旅行代金（目安）

旅行代金は、選ぶ客室（キャビン）の種類によって大きく異なります。

• 内側（窓なし、最安値）： **約160万円〜200万円**
• 窓付き（海側）： **約200万円〜250万円**
• バルコニー付き： **約250万円〜350万円**

これに加えて、港湾税、チップ、海外旅行保険、寄港地での観光費用などが別途必要になります。

【最重要】ピースボートの旅費と「ボランティア割引」の仕組み

ピースボート最大の特徴であり、多くの若者が参加できる理由が「ボランティア・スタッフ（ボラスタ）割引制度」です。

ボランティア・スタッフ（ボラスタ）制度とは

ボランティア・スタッフ（ボラスタ）制度とは、ピースボートの広報活動や事務作業を手伝う代わりに、参加費用が割引になる仕組みです。割引に必要な活動時間に応じて、「ポスター貼り」や「宣伝活動」など、様々なボランティア活動に参加します。

この制度を利用すれば、**数百万円の旅費を大幅に減額、または全額割引（無料）**にすることが可能です。

割引額の計算と活動の目安

割引額は、活動時間（ポイント）に応じて変動します。

• 活動内容： ポスター貼り、説明会運営補助、事務所での事務作業など
• 割引額： 活動時間に応じて、数万円〜数百万円の割引が適用されます。
• 全額割引の目安： キャビン（内側）の料金を全額割引にするには、**半年〜1年程度の集中した活動**が必要になることが多いです。（※割引率は時期やクルーズによって変動します）

注意点： 割引は「労働の対価」ではなく、「広報活動に貢献したことへの謝礼」という位置づけです。活動は大変ですが、共に旅を目指す仲間との出会いという大きなメリットもあります。

参加にかかる総費用（ボランティア割引利用後）

仮に旅行代金が全額割引になったとしても、以下の費用は自己負担となります。

• 必須費用： 港湾税、寄港地費用、船内チップ（約30万円〜50万円）
• その他費用： 海外旅行保険、寄港地観光費、船内での個人消費（飲み物、お土産など）

**結論として、旅行代金を全額割引にしても、最低でも50万円〜100万円程度の自己資金は必要**だと見積もっておくべきでしょう。

船内生活を徹底解剖！プログラム、食事、部屋、人間関係

ピースボートの船内生活は、一般的なクルーズとは大きく異なります。旅の核となる「地球大学」のプログラムと、人間関係に焦点を当てます。

知識と経験の場：「地球大学」と自主企画

ピースボートの最大の特徴は、航海中に開催される多種多様なプログラムです。

• 地球大学（グローバルカレッジ）： ゲスト講師による国際問題、文化、歴史、環境などに関する講義。船上が学びの場となります。
• 自主企画： 参加者自身が企画・運営する講座やイベント（語学教室、ヨガ、ダンス、趣味の会など）。**参加者の約半数が何らかの企画に関わる**といわれます。
• イベント： 運動会、のど自慢大会、ファッションショーなど、多様な交流イベントが毎晩のように開催されます。

食事とキャビンの種類

• 食事： メインダイニングでのビュッフェ形式が主ですが、アレルギーやベジタリアンなどの対応も可能です。豪華客船のような高級フレンチというよりは、**健康的な多国籍料理**が提供されます。
• キャビン（客室）：
  • 内側（相部屋）： 4人部屋や2人部屋が多く、プライベート空間は最小限ですが、料金は最も安くなります。
  • 窓付き・バルコニー： 予算に余裕があり、プライベートを重視したい方向けです。

独特の人間関係と出会い

ピースボートには、10代から80代まで幅広い年齢層が参加しますが、特に「何かを成し遂げたい」「人生を変えたい」という熱意を持った若者が多く集まる傾向があります。

• メリット： 年齢、職業、国籍を超えた**濃密な人間関係**が築けます。人生の師や親友、旅のパートナーと出会う可能性が高いです。
• デメリット： 閉鎖的な空間で共同生活を送るため、人間関係の摩擦も生じやすいです。**「集団生活が苦手」な人にはストレス**になる可能性があります。

メリット・デメリットとリアルな評判（船酔い、人間関係、サービス）

実際に参加した人たちが語る、ピースボートのメリットとデメリットを客観的に検証します。

ピースボートに参加する5つの大きなメリット

• 費用対効果： ボランティア割引を利用すれば、他の世界一周ツアーと比較して**圧倒的な低コスト**で旅を実現できます。
• 多様な価値観： 講演や企画を通じて、国際情勢や文化について深く学ぶ機会が豊富にあり、**知的好奇心を満たせます**。
• 圧倒的な出会い： 夢や目標を持つ仲間と、**寝食を共にする濃密な時間**を共有でき、帰国後も続く強い絆が生まれます。
• 安全と安心： 宿泊・移動の手配が不要で、**海外初心者でも安心**して世界一周が可能です。
• 時間の有効活用： 航海中にさまざまな知識やスキル（語学など）を習得できるため、**時間を無駄にしません**。

リアルなデメリットと注意すべき評判

• 人間関係の難しさ： 閉鎖空間での集団生活は、**「人間関係が濃すぎる」「距離感を保てない」**と感じる人もいます。
• 船酔い： 太平洋や大西洋などの外洋航海では、**船酔いが避けられない**時期もあります。対策は必須です。
• 船の豪華さ： 豪華客船専門のクルーズに比べ、チャーター船の**設備やサービスがシンプル**である点に不満を持つ人もいます。
• 寄港地の自由度： 寄港地での観光は、団体行動が基本となります。個人で自由に動くには、**事前に入念な準備**が必要です。

「人生で一番濃い3ヶ月間でした。正直、船酔いは辛かったし、合わない人もいたけど、それ以上に自分の価値観がひっくり返るような体験ができた。旅費を割引できたことで、参加へのハードルが下がったのが大きいです。」（20代元参加者）

豪華客船との比較：ピースボートを選ぶべき人・選ぶべきではない人

「世界一周」という目的は同じでも、ピースボートと一般的な豪華客船クルーズは、コンセプトが全く異なります。

ピースボート vs 豪華客船クルーズ

ピースボートを選ぶべき人

ピースボートが最適なのは、以下のような方です。

• 予算を抑えたい学生・若者で、ボランティア活動に情熱を注げる人。
• **「旅」そのものよりも、「旅を通じた自己成長や学び」**を重視する人。
• 濃密な人間関係を求め、集団生活や交流イベントに積極的に参加できる人。
• 海外初心者で、すべて手配された安心感の中で世界を見てみたい人。

ピースボートを選ぶべきではない人

逆に、以下のような方には、一般的な豪華客船クルーズをおすすめします。

• 船内での贅沢な食事や豪華なサービスを最優先に考える人。
• 他人との交流を避けたい、または共同生活にストレスを感じる人。
• **ボランティア割引に興味がなく**、旅費全額をすぐに支払える人。
• 船旅ではなく、寄港地での自由な観光を最優先にしたい人。

参加前に準備すべきことと後悔しないための注意点

長期間の船旅を成功させるために、乗船前に準備しておくべきことと、特に注意すべき点をまとめました。

お金の準備と管理

• 現地通貨の準備： 寄港地が多い分、現地で使える少額の現金（米ドル、ユーロなど）は早めに準備しておくと便利です。
• クレジットカード： 船内での精算は原則としてクレジットカードまたはデポジット（現金）で行います。複数のカードを用意しておきましょう。
• 自己資金： 旅行代金とは別に、最低50万円〜100万円は現地観光や船内での消費（飲み物、お土産、Wi-Fi代など）のために用意しましょう。

健康管理と船酔い対策

• 海外旅行保険： 必須です。90日以上の長期プランに加入し、緊急時の医療費や帰国費用をカバーできるか確認しましょう。
• 酔い止め： 船内の医務室でも購入できますが、飲み慣れた酔い止め薬を多めに持参しましょう。
• 体調管理： 共同生活のため、風邪や感染症のリスクがあります。常備薬や体温計などを持参し、体調管理を徹底しましょう。

後悔しないための3つの注意点

• 目標設定を明確に： 「なぜピースボートに乗るのか」を明確にしておかないと、途中でモチベーションが下がりがちです。「語学力を上げる」「友達を100人作る」など、具体的な目標を設定しましょう。
• 人間関係に期待しすぎない： 多くの出会いがある反面、合わない人がいるのも当然です。適度な距離感を保ち、**一人の時間も大切にする**心構えが必要です。
• 船内企画に積極的に参加： ピースボートの醍醐味は「自分で企画に参加すること」です。人見知りでも、まずは興味のある講座やイベントに顔を出しましょう。

まとめ：ピースボートは「旅」と「学び」を融合した唯一無二の体験

ピースボート世界一周は、決して豪華で楽な旅ではありません。しかし、他の旅行では決して得られない、**自己成長と深い交流**の機会に満ちた、唯一無二の体験を提供してくれます。

• ピースボートの旅費は高額ですが、ボランティア・スタッフ（ボラスタ）割引を利用すれば大幅な減額が可能です。
• 船内では地球大学や自主企画など、学びと交流に特化したプログラムが充実しています。
• 濃密な人間関係が特徴であり、人生のパートナーや親友と出会うチャンスがあります。
• 参加する際は、明確な目標設定と、費用（自己負担分）の準備が成功の鍵です。

もしあなたが「人生を変えるような経験をしたい」「費用を抑えて世界一周に挑戦したい」と強く願うなら、ピースボートは最高の選択肢の一つです。